とにかく旅を脳内再生する 〜長野市編〜



遠くに行けなくなって大体2年ほど経つのでしょうか。夏といえばというような、お題に出てきそうな思い出からも久しく遠ざかっている。でもやっぱり非日常のなかで、あてもなく歩いて、どこかの誰かの日常を垣間みたり、初めましての国籍や年齢ばらばらの人たちと話したり過ごしたりする時間はわたしにとって、生きていく中で必要な潤いだったりするので、脳内でもう一度再生した。
一番新しく、遠い昔のような旅。平成から令和に変わるまえ約1週間、わたしは久しぶりに旅に出ていた。



ふとしたことがきっかけで、今回は長野県松本市の令和前の旅を書き留めよう!と思ったけれども、そこまでのところを長く長く書き過ぎたので、今回は、長野すきだわー、ゲストハウスすきだわーということと、長野県長野市の善光寺近辺のゲストハウス「1166backpackers」に泊まった際の生活について書きました。このゲストハウスは、令和前の旅でも、大学生の頃もなけなしのお金で連泊してしまう上に、追加でもう一泊とかしてしまう場所です。。


学生の頃から旅が好きで、卒業まで平日はみっちり授業、長期休みに2つの実習が入るわたしは、実習最終日力尽きつつもお礼状を書き、夜に荷造りをして、翌日朝から電車に乗り、出先の駅のポストにお礼状を投函する人間だった。

もともと旅を始めたきっかけは、広島県の尾道市に友達と行ってからである。「古民家空き家再生プロジェクト」や「アーティスト・イン・レジデンス」、小さい個人経営のお店などを自分の目で見て、感じて、とにかく端から端まで尾道のいろんなところを知ろうとしていた。ゲストハウス「あなごのねどこ」も友達と併設のカフェ「あくびーカフェ」の存在を知ってから、一人で月一くらいで泊まりに来ていた。尾道の何がいいかと言うと、海のにおいや船のにおいは、海の町で育ったわたしは久しぶりに実家に帰ったような、しかも船の油のにおいは幼少期におじいちゃんと船に乗って釣りをしたり、家族や従兄弟と花火を観たりしたころを思い出し、格別に安心する要素である。海の他にも、反対をみれば山があり、古い家や商店街、路地裏の生活感、どことなくのんびりできて、なおかつ小さな世界観を持った一つひとつのお店の空気感、そこで出会う人たちが今までの生活の中では触れ合ったことのない衝撃ばかりだった。好きなものは好きだと言っていいのだと、そうしたら、わたしはなにが好きなのか、尾道に出会ったころ(もう6年ほど、まだ6年しか経ってないのか、、笑)、今より全然分からずだった。そんなこんなで、大学の頃から同じような空気感のある、わたしをなぜか惹きつける街の中に、長野県もあった。
長野県に行きたいと思ったきっかけは、それもゲストハウス繋がりである。ゲストハウスでその日のゲストさんと共有スペースでたわいもない会話をしたり、ご飯のタイミングが合えば一緒にごはんに繰り出したり、仲良くなったりすることがある。そのタイミングで他のいい場所の情報交換をしたり、Facebookで友達になると、その日以降の旅情報など近況がタイムラインに流れてくる。


「1166backpackers」さんの存在もそんな感じで知り、ホームページをみて、ゲストハウスの空気感や地図から想像できる街の空気感、店主の方の丁寧に書き記された投稿をみて、ここ絶対長期休みに行きたいと思って過ごしていた。夜行バスを初めて乗って行った、実習終わりの大学生の冬休み。結局三列シートの左側、後ろの人のゲーム機の連打音で寝られず、揺れるバスで寝られず、寝不足のまま、気がつけば薄暗い長野市。

長野は雪が降っていた。駅のカフェも空いておらず、とりあえず駅のトイレで顔を洗ったり、歯を磨いたりする。小学校の頃の宿泊体験のように、早朝の駅のトイレは、夜行バス上がりの大荷物の人たちと隣り合わせで身支度をする。いい時間になり、駅のパン屋さんでパンを軽く食べ、大荷物でゲストハウスに連絡。「今から荷物置きに行っていいですか?」と電話し、了承を得て、ふらふらしながら、善光寺のある方向へ歩いて行く。スクランブル交差点のような斜めに渡れる横断歩道がある。ついでに言うと、長野駅、わたし駅の中で一番好きかもしれません。長野駅、波みたいなぐにゃぐにゃの短いエスカレーターがあったり、広々とした駅館内で、ゆったり過ごすことができます。(わたしのFacebookが復活したのも、長野県構内無料Wi-Fi)お土産売り場も好きで、「小川の庄」のおやきは必ず次の町行く時用に2、3個買ってから帰るし(チョイスは、野沢菜2個と切り干し大根で、すぐ食べる用に一つ温めてもらうんだ!!また食べたくて、通販でも頼んだんだ!!)、「みすゞ飴」は食感はゼリーでキャンディみたいに個包装になってて、ジューシーで果実感たっぷりで、表面をオブラートで包んでいるところが好きで、すや亀の味噌は実家用と祖父母家用と、お世話になってる人用ととかで重いけど好評だから買う。今言った3点は必ずで、その他、リンゴジュースとかお酒とかお箸とか、長野県、美味しいものとかいいものの宝庫なんですよね。

ゲストハウスに着いたのは、雪の中でも日の出てきた10時ごろ。昨晩チェックインしたゲストさんたちはチェックアウトで送り出したころだと思う。近所の人たちが談笑していた。大荷物からトイレで必要最低限動き回る用にカバンを小分けして、そのカバンだけを持って、店主さんにその街の手作りのガイドマップをもらう。わたしがどういうように過ごしたいかを聞いてくれて、その上で、店主さんがそのマップにすすめの場所を書き加えてくれる。とりあえず、温泉「うるおい館」まで20分ほど歩く。大通りから外れて最後のうるおい館までの川に沿った一本道。左手に日常過ごす街では見られないような青空の中に、崖のような山があり、雪が白くかかっている。太陽で川はきらきら反射して光っている。露天風呂からも、その山は見える。鳥も飛んでいて、その日以来、基本的に長野市に行けば朝は温泉である。その後、一本道を引き返す途中に、「すき亭」へ行く。夜は手が出ないけれども、ランチは学生にもお優しい、すき焼き丼や焼き肉丼とかが食べられる(二択で迷う)。付け合わせのピーマンが美味しい。伝票が分厚い木でできていて、お会計の時、お店の人がしっかりめに対応してくれて本当にメニュー表の値段かたじろぐ。朝から温泉上がりの丼は最高である。その後、「チャンネル ブックス」さんで、本を選んで買う。2階がデザインオフィスであり、アート系のマガジン、建築関係が結構あった印象。ウチダゴウさんの存在を知ったのはここが初めてで(それ以降、長野では至る所にゴウさんの作品を見かける)、長田弘さんの詩集を買い、まだほくほくしながら大通り、手作りの地図の中から選んでカフェ「ゴフク」に入り、だらだら本をみて過ごす。25センチほどの紺色で縁に白い二重の線が入ったお皿を購入した(一年ほど前持ち寄りの会に、お世話になっている人から最近伝授してもらったアラビアータのパスタを持っていき、帰りにアパートの階段でなぜかつまづき割った、、)。一つ一つの白い線の入り方が様々で結構長い時間、一枚を選んでいたし、映える色合いで、長野を思い出すので、大変お気に入りだった。ゲストハウス、チェックインの時間に戻って、軽くなにしてたかその日のスタッフに話をして、荷物を置きに行き、共有スペースで本を読む。ミシマ社さんの本や、家にある本(まだ読んでる途中とか)、興味があるけどまだ買ってない本、知らなかった本、松浦弥太郎さんの本とか、フリーペーパー「雲の上で」とかとかとにかく自分好みの本たちがたくさんある。日常とは違う街で、ソファに座り、心をゆっくりさせられるし、ベッドの側にも本やJINEが置いてあって、夜な夜な読んだ。吉本ばなな初めて読んだ。「是枝裕和×樋口景一 クリエイティブな仕事はどこにある?」はそこで読み始めて、最終的に買って読んだ。読んでいる最中にも、チェックインでゲストさんが次々にやって来られる。同じように一人旅の同年代や社会人。海外からカップルで。バイク旅で。映画の好きなおばあちゃんとかもいた。朝も夜もにぎやかなときもあるけど、一人一人が思い思いにすごせるような空間をスタッフの方が作ってくれる。朝、日が差してきた中で、昨晩読んだ本の続きを読みながら、スタッフの方が音楽を静かにかけてくれた。心地がよくて何の音楽か聞いたら、paniyoloのアルバム「たまのこと」だった。そこで知ってから、アルバム「ふたてま」を買った。
青木隼人さんのアルバム「Echo」に出会って以降、普段から自分の家を穏やかに過ごせる空間にできることに衝撃を受けて、旅先で穏やかになれた時間をまた自分の生活の中で取り入れる作業というか、パーツ集めをしていて、それを繰り返している気がしていることに気がついた。旅をして、心地よい場所に出会うと、自分の心地よいことや好きなことを知ることができる。





善光寺近辺の好きなところはたくさんある。お店に限定して思い出したこととともに書きました。思ったより、今の生活に繋がっていることが多かったです。

・つた弥
→海鮮料理をゲストさんと食べに行った。その日は久しぶりの米だった気がする。刺身美味しかった。その方が社会人してたから仕事の話とかいろいろ聞いた気がする。ゲストハウスに戻る最中、空いてた溝に片足太腿あたりまではまる。1166のなかで、“地域に片足つっこめるところ”というようなニュアンスの一言が書いてあったのだけど、まさしく物理的に片足突っ込んでしまった。その地のビール美味しい。

・春陽
→ケーキ屋さん。ガツンとしたケーキが食べたいという話をしたら、ケーキ屋さん教えてもらった。ガトーショコラで上にふわっふわの生クリームのってるやつを食べた。あと紅茶。一回行って、その日は内田先生の本を読んでた記憶あり(なんでそんなまた旅先で、そうなったのかは不明)。二回目行ったときは、マラソン出た後で休みだった。透明の飴色のお皿を買って、それはまだ家でもケーキや大事にクッキー食べる時に大活躍中である。雨の中、雨宿りに行ったら、ご婦人たちが談笑中だった。

・すや亀善光寺店の味噌焼きおにぎり
→朝、善光寺さんにお参りの後とか、帰る前とか、とにかく何かしらのタイミングで味噌焼きおにぎりを食べる。おやきばかりの中で、味噌焼きおにぎりは目を引くのです。

・ロジェ
→雑貨屋さん。西淑さんのレターセットとか紙小物を買う。淑さんの絵、ドローイングがすごいすきである。今では近くで買えるようになったけど、ロジェ知ったころは衝撃だった。ここか鳥取で買い集めてた。靴も買ったし、サンダルも買った。どちらも今まだ現役である。サンダルは旅先の電車の長い移動とかにとても快適です◎

・あったかめし屋太郎
→ランチで迷った挙句、海鮮丼。メニューは豊富で、二回目以降、いつも一杯で入れない。

・クラクサ
→雑貨やさん。みるだけでわくわくする。蝋燭とか手ぬぐい買った。もうないのだ。二回目行ったらなくなってて、ショックだった。

・ヤマとカワ
→コーヒーやさん。地図で見て分からず。Googleマップでも通り過ぎる。コーヒー飲まない民だけれども、尾道で知った、ka-jiさんの作品展してた。思わず、作品買った。今でも家の一番いい場所に置いている。風に揺れるモニュメントや蝋燭スタンドはずっと見てられる。店主の方と、尾道の話した。常連さんがたくさんいた。斉藤キャメルが流れていて、何枚か聴かせてもらった。

・相生座
→100年以上前からある商店街の中にある映画館である。滞在中は温泉に入って、映画みるか、本を読むか、だらだらするかしか本当にしてない。外の入り口付近の窓口で口頭で水族館とか遊園地とかみたいにチケットを買う。チケットのデザインは渋くて、全部取ってある。入ったところで、お盆をもったスタッフさんがあったかいお茶を手渡ししてくれる。そのお茶がすきである。小さい古くからの映画館だからか、上映中、他の部屋の映画の音が聞こえる時がある。「ポリーナわたしは踊る」が一番好きだった映画である。半年ほど前、手ぬぐいを買ったときに、ほっこりしたやりとりを電話でした。

・ハナヤ ココボロ
→商店街を真っ直ぐ突き進んだ先にある。初めて花を買った場所。店主さんがたくさん花のことを弾んだ調子で伝えてくれる。そこに行けばわたしはこれからもここで花を買うのだと思う。その日以来、ずっと移動では持ち歩くことになるのだが。ドライフラワーになって今も家に飾っている。その近くに和菓子屋さんがある。つい、買ってしまう。

・イトーヨーカドー
→お気づきの通り、どこにでもあるやつです。しかし、旅先のスーパー巡りは侮ることなかれ。本屋を気がついたら巡って大量に購入してたり、お土産に味噌とか買うから、段ボールをもらい、梱包して、善光寺通りの郵便局から家に送るのです。「八幡屋礒五郎」の七味はお土産に好評だし、ゲストさんに聞いたソース「ブルドッグ」(これは西だったらおたふくソースになるとかいう話聞いた)、どん兵衛も西と東では味違ったし、旅先という非日常の中での日常を取り戻したい時に味噌汁とかもスーパー行けば買ったりする。あと、長野寒いから、大雨降った時長袖の調達したりした。100均もありがたし。どこでもそうだけど、長旅してるとゲストハウスは夜に一人になりたくなる時もあり、外に出て、散歩して、特別になにがということはないけど、一人シーンとしたイトーヨーカドーのレストランでパスタ食べたりしたこともある。帰り、普通にこっちやと思ったら全然宿と違う方向で、めっちゃ遠回りした記憶あり。

・小川の庄 大門店
→おやき、ここで初めて食べてから、好きになった。ここは囲炉裏で焼いてくれる。味噌汁つけてもらって、焼いてる無口な叔父さん見ながら、おしゃべりなおばちゃんと談笑しながら食べられる。ゲストハウスから近くて、善光寺通りだから日中は人通り多いのだけれど、朝は人少なく、ゲストハウスだからこそ、外にちょっと出て、ゆっくり食べてからゲストハウスに戻れる。

・薫蔵
→パンとコーヒー飲む。朝にいく。ゆっくりできる場所。昔蔵だったこともあり、ひんやりとして、静かに心が落ち着く。コーヒーもパンも細かくオーダーできる。コーヒーの入った器が、すごくすごく素敵で、こういうのもありなんだなぁと思った。



めちゃくちゃ書いてしまったけれども、「こまつや」「バーバラ」にはまだ行けてないご飯屋さん。「ナノグラフィカ」という喫茶も入れてないな。


結局特別なことはなにもしてないのだけど、日常を他の街で送ると、そこだからこその空気の中で生活ができて、色んな人の人生を垣間見れて、(写真を辿ったら、当時ゲストハウスのスタッフウクレレ弾ける方がいて、みんなで歌ったりもしたなぁ。。)自分の中に新しい空気が入る感じです。また行きたいなぁ。。

あと、ここの宿を起点に、結構動けまして、志賀高原にスノボする人に便乗して、朝すき家で朝食からの、冬季オリンピックの地に気が付いたら行って、雪のふわっふわ感にびっくりしたり、そのままバスで下って地獄谷温泉で猿みてみたり、さらにそこから下って、凍えるような寒さを抱えて、おすすめされた湯田中温泉街で駅近辺でさくっと入れる渋い温泉見つけて入ってほくほくになって、少ない電車を寒くなりながらなにもすることなく駅で待ちぼうけし、乗ればうとうとしながら帰った日もあったなぁ。。(ちなみにそこの電車、めっちゃ乗り心地いいんよなぁ。姨捨駅で一回電車止まって、逆方向に行くんだけど、そこから見える景色がいつみても素晴らしいんだよ。小布施堂の和菓子の広告が印象的で、まだそっちの方行けてなくて、また行きたいと思っている。安曇野も同じく。)



松本市にも行こうとはしてなかったけれども、行くきっかけをくれたのはここのゲストハウスから。次は、次こそは、その話を書きたいな。たぶん。


と、その周辺に纏わり付くモノたちへ

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